コラム

裁判例 男女交際と慰謝料

女性の妊娠後、虚偽の事実を述べる等身勝手な態度に出た男性に慰謝料の支払いを命じた裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁令和元年 5月30日判決をご紹介します。
 男女が交際中であったところ、女性が妊娠しました。男性側は、出産を望まず、女性に対し、中絶費用は負担するが、出産しても責任を取らない(結婚や認知を謝絶する)旨を述べたり、自分の子であることを疑ったり、妻や知人に相談した結果自分の子ではないと思うが、レイプされたのが原因ではないかと問いかけたりするメッセージを送信しました。なお、男性は本当は独身であり、妻に相談したという話は虚偽でした。また、男性の知人の女性が、男性の依頼により、母親を装って、電話で女性と会話した際、感情的になって口論し、男性は2人の女性に子を産ませているなどと言って中絶を要求しました。
 裁判所は「原告から妊娠の報告を受けた被告は,中絶費用は負担するが,結婚や認知は謝絶する旨表明するばかりであった。その上,被告は,原告に対し,独身であったにもかかわらず妻に相談したなどと明白な虚偽を述べ,全く根拠もなくレイプされたのが原因ではないかという問いかけをし,さらに,知人の女性に母親を装わせて中絶を要求し,その後は原告の連絡に応答しなくなった。このような言動は,単に妊娠の責任を取らない身勝手な態度というにとどまらず,不合理で社会関係上の常識を逸脱したものであり,不法行為に該当するというべきである。」と判断し、慰謝料120万円を認めました。