コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

探偵の調査費用を相手に請求できるか

弁護士 幡野真弥

 不貞慰謝料請求事件や、離婚請求事件では、配偶者の不貞行為の存在を立証するために、興信所や探偵業者に調査を依頼することがあります。
 調査費用は、業者や調査規模によってさまざまですが、中には高額な費用を支払っているケースもあります。

 不貞の調査のための費用について、配偶者や不貞相手に請求できますか?というご相談をお受けすることがありますが、この点については、裁判例上、判断は分かれています。
 「調査費用は、必ずしも支出せざるを得ない費用とはいえない」「必要性・相当性がない」といって否定する裁判例もありますし、他方で「調査がなければ不貞行為を立証することは事実上不可能」「通常必要とされる費用の限度で相当因果関係がある」といって、肯定する裁判例もあります。また、調査費用全額を損害として認めないまでも、慰謝料の増額要素としたり、調査費用の一部を損害と認める裁判例もあり、さまざまです。傾向としては、証拠としての必要性が乏しかったり、あるいは、費用が高額にすぎるケースでは、損害としては認められにくい、ということができます。