コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

原告にも過去に不貞行為があったこと考慮し、慰謝料を算定した裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成22年7月28日判決をご紹介します。

 原告と元妻の婚姻期間10年6ヶ月、元妻と被告の不貞の期間は約1ヶ月で、原告と元妻は調停離婚することになりました。
 その後、原告は、被告の不貞が原因で離婚することとなったと主張して慰謝料を請求する裁判を起こしました。一方で、被告は、原告の過去の不貞行為により婚姻関係は既に破綻していたと反論しました。

 裁判所は、原告にも過去に不貞行為をした事実があるものの、その後、長男が誕生していたり、元妻と原告は家族旅行に複数回出かけていることなどが認められるとし、被告が不貞行為を行った時点では、夫婦関係が実質的に破綻していたと認めることはできないと判断しました。
 そして、被告の不貞行為が契機となって、原告と被告が離婚に至ったことは明らかであるとしつつも、「元妻Aが離婚を求めた際、原告がこれに抗しきれなかったのは、原告自身がかつて不貞行為をしたことに原因があるものと推認されるから、離婚の原因の全てを本件の不貞行為に求めることはできない。」として、慰謝料は140万円と判断しました。