コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

妻が、夫と不貞相手2名に対して慰謝料を請求した裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成28年 5月25日判決をご紹介します。

 原告は、平成15年4月10日、結婚し、被告Y1と婚姻し、長男を設けました。
 被告Y1は、平成26年5月23日、被告Y2と不貞行為を行いました。
 また、被告Y1は、同じ勤務先の被告Y3と、平成26年12月27日頃から性的関係を持つようになり、ホテルに宿泊したり、温泉に宿泊旅行に行っていました。

 そこで、原告は、被告Y1,Y2,Y3に対して、慰謝料を請求して裁判を起こしました。 
 裁判所は、慰謝料について、以下のように判断しました。

 「原告と被告Y1は、平成15年4月10日に婚姻した夫婦であり、その婚姻期間は13年近くに及び、同居期間も平成16年頃から平成27年4月まで11年間に達しているところ、被告Y1と被告Y2及び被告Y3との性的関係が発覚したことを契機として、別居に至り、被告Y1によって夫婦関係調整調停(離婚)が申し立てられるに至っているものと認めることができ、証拠(中略)によると、原告は、被告Y1と被告Y2及び被告Y3との性的関係を認識し、少なくない精神的苦痛を受けたものと認めることができる。
 他方、上記1において認定したとおり、被告Y1と被告Y2は、原告との婚姻関係を解消して再婚することに向けて密に連絡を取り合っていたものと認めることができるものの、平成26年5月23日に性的関係を持ったにすぎない。
 また、上記第2の2(3)イの前提事実において認定したとおり、被告Y1と被告Y3との交際期間も、平成26年12月27日から平成27年1月24日までの1か月間にとどまるものと認めることができる。
 そして、証拠(甲14、原告本人)によると、原告は、被告Y1による不貞行為を宥恕し、婚姻関係の継続を希望する旨の意思を有しているものと認めることができる。
 以上のほか、本件に現れたすべての事情を総合考慮すると、被告Y1、被告Y2及び被告Y3が原告に対して賠償するべき慰謝料は、被告Y1及び被告Y2につき70万円、被告Y1及び被告Y3につき80万円をもって相当というべきである。」

 不貞相手が複数いる場合の慰謝料の考え方について参考になる裁判例です。