コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

不貞相手と子をもうけ、認知して同居していたケースで高額な慰謝料(300万円)を認めた裁判例

弁護士 幡野真弥

 裁判例では、不貞行為に対する慰謝料の金額は、数十万~数百万円と幅がありますが、300万円を超えるものは多くありません。

 今回は、東京地裁平成28年4月21日判決をご紹介します。
 事案は、以下のとおりです。
 原告は、平成16年に結婚し、2名の子をもうけました。
 夫は、遅くとも平成20年8月には、不貞を開始しました。
 平成24年6月に、原告と夫は別居し、夫は不貞相手と同居を開始しました。夫と不貞相手のには子供が生まれています。

 裁判所は、慰謝料について、次のとおり判断しました。
 「被告らは,原告と被告Y1(夫)の平穏な婚姻生活を侵害することを十分認識しながら数年にわたる不貞行為を継続し,最終的には原告と被告Y1の婚姻関係を破綻させて離婚を余儀なくさせたというのであり,かかる共同不法行為によって原告が相応の精神的苦痛を被ったことが認められるが,加えて,原告には被告Y1との婚姻関係の破綻につき何ら帰責性がない一方,被告Y1は,自己が有責配偶者であるにもかかわらず一方的かつ執拗に原告に離婚を求めた末に,被告Y2(不貞相手)との不貞行為を継続して子までもうけ,それをきっかけに被告Y2と同居するために原告との別居に踏み切り,以降は被告らが夫婦同様の生活を継続しているというのであるから,これら原告の心情を考慮しない被告らの行動に照らせば,被告らの不貞行為の態様は非常に悪質であったといわざるを得ない。
 そこで,これらの諸事情,その他の本件に顕れた一切の事情に照らせば,原告が被告らの不貞行為により被った精神的苦痛を慰謝するのに相当な慰謝料額は300万円と認めるのが相当である。」

 慰謝料が300万円と高額となった理由としては、原告に帰責性がないこと、不貞行為の期間も長期であること、夫と不貞相手が子を設け同居していることなどが原因であると考えられます。