コラム

不貞慰謝料請求

不倫相手の配偶者から慰謝料請求されたとき④~相談のタイミング~

弁護士 小島梓

 慰謝料請求通知を受領した際に,安易にご自身で対応することにはリスクがあるということはご説明してきたとおりです。
 では,そのようなリスクを出来る限り減らすために,どのタイミングでどのような対応をするべきかについて,ご説明していきたいと思います。

 まず,慰謝料請求通知を受領した際,ご自身で動く前に,一旦,専門家に相談することをお勧めします。
 ご自身のお仕事の都合等で,専門家への相談もすぐには難しい場合で,回答までの時間が気になる場合には,相手方には,正直に検討する時間がほしいと伝えて,回答期限を延ばしてもらうのも一つの方法です。

 当事務所では,これまでの経験上,初回相談の段階で,費用対効果の問題も含め,最初から弁護士を入れるべき事案か,まずはご本人対応でお願いできそうな事案かというおおよその判断をさせていただくことが可能です。
 そのためご相談者様は,当方のアドバイスを聞いた上で,ご自身で対応するか否か,対応するとしてその方法を検討することが可能になります。

 さらに,仮にご自身で対応するとしても,最後の合意書だけは専門家に作成してもらうというのも一つの方法です。
 当事務所でも,初期段階でご相談に来ていただいた際,事案によっては,交渉はご自身で対応いただき,合意書だけは当方で作成させてもらうという方法をご提案することもございます。

 このように専門家への依頼にもさまざまな方法があります。そのため,依頼の要否だけではなく,依頼方法の選択肢を正しく把握するためにも,初期段階で相談に行っていただくことが重要かと思います。

 既婚者との交際は決して褒められた行為ではありません。傷つく配偶者がいることも事実です。しかし,だからこそ,ご自身での適当な対応は避け,誠実な対応を検討するべきではないかと思います。
 当方の経験上,一度,適当に合意したものを反故にするという事態になった時に一番相手方を怒らせることになります。相手方には,これが何より不誠実な対応と映るからです。

 ご自身のためのみならず,相手方に誠実な対応をと考えられるのであれば,その誠実な対応のためにも,早い段階で一度ご相談いただければと思います。