コラム

配偶者の不倫に対する対応

配偶者が不倫をしているかもしれない④~配偶者との夫婦関係~

弁護士 小島梓

 配偶者が不倫をしているかもしれないと思ったとき,配偶者との今後の夫婦関係についてどうすべきか悩まれる方は非常に多いです。
 すぐに答えが出ない問題でもあったり,考えるのが辛かったりするため,夫婦関係についてはペンディングとして,とりあえず,配偶者を問い詰める,不倫相手に連絡をとる,慰謝料を請求してみるという形で,場当たり的な対応に終始してしまうケースも珍しくありません。

 しかし,配偶者との夫婦関係を継続していきたいか否かについては,後悔されないために,ご自身で動かれる前に,良く考えていただきたいことの一つです。そこで,今回は,配偶者との夫婦関係について考えていただく際のポイントなどご紹介したいと思います。

 まず,人それぞれ配偶者に対する気持ちも,事情も異なりますので,どうすべきというルールはございません。不倫をした配偶者と絶対に離婚しなくてはいけないということでも,逆に離婚してはいけないということでもございません。

 当事務所にいらっしゃるご相談者様の中には,配偶者が不倫をしているとしても,経済的な不安やお子様のことがあり,離婚すべきではないのではないかと悩まれている方も多くいらっしゃいます。
 もちろん,経済的なこともお子様のこともとても重要なことですが,当事務所では,まずご自身が後悔しないように,ご自身の正直な気持ちと向き合っていただくことをお勧しています。

 お子様のことも,経済的なことも別にしたら,ご自身の正直なお気持ちとしてはどうしたいかということを考えていただきたいと思っています。
 その上で,次に,+αの要素を考えてみると,道筋が見えやすくなることが多いです。逆に最初から+αの要素だけを考えてしまいますと,選択を誤ってしまったり,選択を後悔されるケースが多いように感じている次第です。

 その結果,仮にご自身の中で,少しでも夫婦関係継続の希望があるのであれば,配偶者に対する説明の求め方,不貞相手への請求等に関して非常に慎重な対応が必要となります。

 ですので,当方では,ご相談者様が,配偶者の不倫の事実を知っても,夫婦関係継続の可能性を残すことを希望されている場合には,配偶者の性格やそれまでの夫婦関係から予想される今後の展開などをご説明しつつ,対応を一緒に検討させていただくようにしています。

 配偶者の不倫が発覚した時に,今後の夫婦関係について冷静に考えるのは簡単なことではなく,状況によっては,気軽に周囲の人に相談できない問題でもあります。当事務所では,離婚か婚姻関係継続かという二者択一ということではなく,様々な選択肢をご提供して,一緒に検討させていただくようにいたしますので,一度ご相談ください。

 次回は,配偶者の不倫をきっかけとして,離婚を考え始めた時に,何を考えていただきたいかということについてご紹介します。