コラム

ストーカー規制法

ストーカー行為規制法④つきまとい等の相手方

弁護士 長島功

 前回までは、つきまとい等の具体的な内容についてお話ししましたが、今回はその相手方にはどのような人まで含まれるのかということについてお話ししたいと思います。

 ストーキングの対象としては、恋愛感情等を持たれた特定の人(以下、「対象者」)はもちろんですが、実際には対象者の周囲の人にまで被害が及ぶケースが多いです。
 そのため、同法2条1項では、
 その配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者
 まで保護の対象を広げています。
 「社会生活において密接な関係を有する者」というのが、抽象的な記載にはなっていますが、典型的には対象者の交際相手です。対象者の交際相手に対する嫉妬心等から、攻撃の対象が、対象者そのものではなく、対象者の交際相手に及ぶことは十分に考えられ、そういったケースも想定して、同法は規制をしています。
 また、実際のケースでは、対象者の交際相手だけではなく、対象者の友人や上司等にも被害が及ぶケースがありますので、そういった人達も「社会生活において密接な関係を有する者」に該当するとされています。
 このように、同法は「社会生活において密接な関係を有する者」にまで対象を広げ、実際の起こり得るケースに柔軟に対応をしています。