コラム

裁判例 不貞慰謝料請求 その他

妻に対して慰謝料を支払った不貞相手が、夫に対して求償した裁判例

 不貞行為を行った当事者2人は、被害者である配偶者に対して、連帯して慰謝料を支払う義務を負います。
 ここで、不貞行為を行った当事者のうち1人のみが、配偶者に対して、慰謝料全額を支払った場合、他方の不貞行為当事者に対して、責任に応じた慰謝料の分担を求めることができます。
 実際の裁判例としては、東京地裁平成28年10月20日判決をご紹介します。

 原告(不貞相手の女性)と被告(夫)とが不貞関係にあったことが、被告の元妻に対し発覚し、被告の元妻は、原告に対して損害賠償を請求し、原告は、被告の元妻に対し慰謝料250万円を支払いました。そこで、原告は、被告に対し、夫の責任割合は8割だと主張して、200万円を請求し、裁判となりました。
 被告は裁判に出席しなかったところ、裁判所は「原告と被告との間においては,被告は,被告元妻に対して貞操義務を負っていたのであるから,主として,被告が本件不貞行為の回避義務を負っていたというべきである。また,原告と被告との本件不貞関係が,被告の原告に対する執拗な誘いかけにより開始されたものであることは当事者間に争いがない。これらの事情からすれば,本件不貞行為についての原告被告間の責任割合は,原告が3割,被告が7割と考えるのが相当である。よって,原告が被告に請求できる求償債権額は,原告が被告元妻に支払った250万円の7割に相当する175万円(250万円×(1-0.3)=175万円)である。」と判断しました。