コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

婚姻関係が相当程度修復されていると認められ、慰謝料50万円と判断された裁判例

弁護士 幡野真弥

 不貞の慰謝料は、不貞行為の態様・回数や、夫婦関係への影響などの諸事情を考慮されて決まります。
 例えば、東京地裁平成21年1月14日判決は以下の事情を慰謝料の算定根拠として挙げています。

・被告とAの交際期間は約2年間にわたって続いたこと
・原告とAとの間に2人の未成熟子がいること
・原告が本件不法行為によって心療内科への通院を余儀なくされたこと
・本件不法行為が開始された当時、原告とAの婚姻期間が約2年半程度にすぎなかったこと
・被告とAが肉体関係を持った回数は、合計3回にとどまること
・被告とAの交際は、遅くとも平成17年初めころには終了したこと
・Aが不貞関係を認めて原告に謝罪し、本件訴訟において原告に協力して証言するなど、現在では原告とAの婚姻関係が相当程度修復されていると認められること

 裁判所は、結論として、慰謝料を50万円としました。婚姻関係が修復されているケースでは、慰謝料をは数十万円になることも珍しくありません。