コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

不貞関係の解消と再開を繰り返し、慰謝料額150万円が認定された裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成22年7月15日判決をご紹介します。
 原告(夫)が妻の不貞相手を被告とし、慰謝料を請求した事案です。

 事案の概要は、以下のとおりです。
・原告の妻Aは、平成19年4月ころ被告と知り合い、遅くとも同年11月ころから不貞の関係を持つようになった。
・平成20年6月ころにはその関係が原告に発覚し、一旦は交際を止めたものの、しばらくすると再び交際を始めた。
・同年10月ころには、被告が妻Bに不貞の関係を告白し、別れ話を持ち出すなどしたことで2か月余りは交際を止めたが、平成21年1月にはまたも交際を始めた。
・最終的に同年5月半ばに、交際の事実が再びBに発覚したことがきっかけとなって、交際を中止した。

 裁判所は「原告は,昭和62年1月の婚姻以来,少なくとも平成19年夏ころまでの20年以上にわたり,Aや子らと共に概ね平穏な家庭生活を営んできており,原告自身にその家庭生活を損なうような特段の非があったともいえないのに,被告とAの不貞行為により,その平穏な家庭生活を大きく阻害され,甚大な苦痛を被ったこと,しかも二人の不貞の関係は,平成20年6月ころには原告に発覚して,一旦は関係解消を決めたはずであったにもかかわらず,その後間もなく交際を再開したり,同年10月にはその関係がBにも発覚して,自宅を訪ねてきたBに強く抗議されるなど,目に見えたトラブルにまで発展し,再び関係を清算したはずであったにもかかわらず,その後さらに不貞の関係を結ぶなど,短期間に手酷い裏切りを2度3度と重ねる形となっていること,また未だ年若い長女を始めとする3人の子供達も,実母であるAの不貞の事実を知らされるに至り,その心情は大きく傷つけられ,しばしば家庭内で荒れるようになったことから,そのような様子の子供達を目にする原告にとっては,それもまた一層の心痛となっていること等が認められ,その精神的損害は非常に重大であるというべきである。他方で,離婚に反対する子供達に配慮したとはいえ,原告は未だAとの離婚手続には踏み切っておらず,仮に現時点では家庭内別居状態になっているとしても,修復不可能な状態までに夫婦関係が破綻していると認定するのには躊躇があること,前示のとおり,被告とAとの関係が,約1年7か月という長期間にわたり断続的に繰り返された背景には,被告のみならずAからも,相当程度積極的な働きかけがあったことは認めざるをえないこと等を総合的に考慮すれば,被告とAの不貞行為によって原告に生じた精神的損害に対する慰謝料額は,150万円とするのが相当である」と判断しました。