コラム

裁判例 不貞慰謝料請求

3回の不貞行為について、150万円の慰謝料を認めた裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁平成22年 9月28日判決をご紹介します。

 婚姻期間は約12年以上での夫婦の事案です。
 妻Aに不貞行為があったことが発覚し、夫が不貞相手に対し慰謝料等の請求をしました。
 裁判所は、「本件不貞行為は,欲望の赴くまま結果を顧みずにした身勝手な振る舞いであり,被告の行為は強い非難に値するものであるが,前記のとおり,Aが自然の成り行きで特にためらうことなく応じていることや,回数が3回に止まり,その後は継続されていないことをも考慮する必要がある。また,証拠(略)によれば,被告は,自らの妻に本件不貞行為が発覚した後,Aに対し,自らの妻のAに対する慰謝料請求の意向を伝え,金銭的負担を求めるなどして同人を困惑させたことが認められるが,被告が自らの責任を免れるために策を弄してAを脅迫した事実を認めるには足りず,仮にそのような事実が認められるとしても,本件不貞行為により原告に生じた精神的損害との関連性は薄いから,慰謝料額の算定において重視することはできない。」と
 以上のほか,本件訴訟に現れた一切の事情を考慮すると,本件不貞行為により原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料は,150万円が相当であると認められる。